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『玄海灘』

ものがたり

1943年日本の植民地時代末期の京城(現在のソウル)。

西敬泰(ソ・ギョンテ)は日本の大学を卒業後、地元の新聞社に勤めるが、日本人女性大井公子との恋愛が破綻して衝動的に京城に旅立ち、 京城日報社に就職する。

白省五(ペㇰ・ソンオ)は日本への留学後、一切の交際を断って、日本に協力的な父の家で無為の生活を送っている。

朝鮮人特高の李承元(リ・スンウォン)は白省五を定期的に訪ねて話 をし、独立運動 家たちを紹介する。

植民地末期の京城とそこで暮らす日本人と朝鮮人の複雑な絡まりあいのなか、3人の若者のそれぞれ異なる歩みを中心に描く。

…日本の敗戦と、朝鮮解放、そして朝鮮戦争とすすむ歴史の前夜を生きる人たち…

 
<企画趣旨>

「玄海灘」は韓日関係を「人間的な関係」にと希求してやまなかった金達寿の長編小説。金達寿が京城日報社に勤めていた時期(1943-44年)の体験を素材に書かれた作品で、2人の朝鮮人青年が民族意識に目覚めていく過程を軸に、植民地末期の京城(現在のソウル)の風景とそこで暮らす朝鮮人の日常生活、1919年の3・1独立運動から様々な形で積み重ねられてきた抗日闘争の歴史などが総体的に描かれる。

朝鮮戦争のさなかに発表したこの小説を通じて、金達寿は朝鮮人の同胞たちに同族で殺し合いをする愚かさを、日本人に戦争に加担しないよう訴えた。彼のこの悲痛なメッセージが、在日コリアンのみならず多くの日本人に強い感銘を与えたことは、この小説が第30回芥川賞候補に選ばれたことから窺える。また植民地支配と抗日闘争の歴史が奥行きを持って描かれることで、なぜいかにして在日コリアンが日本で定住しているのか、その来歴が読者に伝えられた。これを通じて彼は日本人に在日コリアンへの理解を求めた。

戦後70余年が過ぎた今日、あらためてこの小説を舞台化することで、近代日韓関係の暗い歴史から目を背けず、金達寿がこの小説に込めた平和と共生のメッセージを継承し、日本人と在日コリアンとの民族を超えた人間的な関係を築く、その一助となることを目指して企画した。

主催 : 玄海灘を上演する会

提携 : 異文化を愉しむ会

後援 : 駐横浜大韓民国総領事館 駐日韓国文化院
韓国「在外同胞庁」 
在日本大韓民国民団中央本部 民団西東京地方本部
神奈川近代文学館/公益財団法人神奈川文学振興会
特定非営利活動法人文化芸術工房
調布ドキュメンタリークラブ 歴史サークル芝蘭


スタッフ

原作/金達寿

脚色/有吉朝子(劇団劇作家)

演出/志賀澤子(東京演劇アンサンブル)

演出助手/菅田華絵(俳優座)

照明/真壁知恵子(東京演劇アンサンブル) 

音響/野中正行

衣装/原田夏おる

宣伝美術/奥秋 圭

舞台美術・舞台監督/三木元太(東京演劇アンサンブル)

韓国語指導/崔順愛

制作/呉文子 異文化を愉しむ会 玄海灘を上演する会

制作協力/太田昭 東京演劇アンサンブル

 

キャスト

李承元/二宮 聡

西敬泰/髙井康行

白省吾/和田響き(東京演劇アンサンブル)


田中忠義/狩野 謙(希楽星)


大井公子/萩原 萠(新人会)

連淑/神 由紀子(朱の会)


香潤/青山眉子(俳優座)


根岸虔一/牟田浩二(希楽星)

古屋立吉/渡辺 修(けさらんぱさらん商会)


林宇載/堀 光太郎

朴定出/志賀澤子(東京演劇アンサンブル)

趙光瑞/松田 崇


池弘策/細谷 巧(東京演劇アンサンブル)

佐藤巡査/城戸光晴(プロダクション・タンク)

李仁錫/小森 理(THEATRE ATMAN)

 

於/調布市せんがわ劇場
(182-0022東京都調布市仙川町1-21-5 tel 03-3300-0611)

 

公演日時

2023年

8月30日(水) 19:00

8月31日(木)  14:00と19:00

9月1日 (金) 14:00と19:00

9月2日 (土) 14:00と19:00

9月3日 (日)  14:00

それぞれ開演(開場は開演の30分前)

全8ステージ

 

料金 一般4,000円(日時指定自由席) 
   調布市民優待1,000円(異文化を愉しむ会への事前申し込みのみ)

 

問合せ

異文化を愉しむ会 電話042-486-8129 携帯090-4623-9283(呉文子)
         メール o-moonja@jcom.home.ne.jp

玄海灘を上演する会  電話042-446-0205 携帯090-3575-3617(二宮聡)
          メール peopletheater.n@gmail.com
          URL https://wsbel.hp.peraichi.com/genkainada

 

プロフィール

演出/志賀澤子

東京演劇アンサンブル代表

日本新劇俳優協会理事

1963 年俳優座養成所卒業、東京演劇アンサンブル入団。

以来演出家広渡常敏の演出をうけ、その死2006年までその演出作品の殆どに主演。

1995 年文化庁在外研修でミラノ、パオロ・グラッシ演劇学校より招聘を受け、イタリア各地の演劇を学ぶ。

脚本『食卓のな い家』2000年(土)文化庁創作戯曲賞佳作受賞。

2016 年ベトナム文化協会より日本との演劇交流貢献賞を受賞。

主な出演舞台

1963年『日本人民共和国』海老沢文で初舞台以来、『グスコー・ブドリの伝記』オリザ、『銀河鉄道の夜』ジョバンニ、『母』ペラゲーア・ウラーソワ、『沖 縄』秀、『かもめ』アルカージナ、『常陸坊海尊』おばば、『食卓のない家』など。近年は『泥棒たち』、『彼女たちの断片』葉子、『もういいかい・まあただだよ』のあかり。

2011年以来一人芝居「ローズ』を演じ続け現在76回。2022年からは『最期の手紙』アンナ・セミョーノブナも演じはじめている。

演出作品

東京演劇アンサンブル本公演で『FEN-沼地』ギャリル・チャーチル、『マイという女』マリーナ・カー、『海の 52 万石』広渡常敏、『アンティーゴネ』ブレヒト等。

日本新劇俳優同協会フェスティバルで 2019年以来演出。『君死にたもうことなかれのオペラ』吉田隆子、『唐人お吉の神話』ブレヒト、『ぼく自身のうた』有吉朝子。

西東京市民劇団銀河ラボで 2011 年創立以来10作品余毎年演出。

シアターΧで 2020年から一人芝居研究会会長。約10人のメンバーで作品をつくる。

☆東京演劇アンサンブル海外公演、プロデューサー、女優として『桜の森の満開の下』アメリカ・韓国・ブリヤート・イギリス・アイルランド、ルーマニア、モルドバ『かもめ』ロシア、『沖縄』ベトナム・イタリア、『ガリレイの生涯』ドイツ、『セチュアンの善人』『走れメロス』『銀河鉄道の夜』韓国など 11カ国.19都市で公演。

☆国内では野外公演を青森、長野、京都等各地の人たちと立ち上げ、公演。

☆青森県での高校演劇の審査員、宮城県での高校演劇合宿、東京学芸大学高校の演劇指導などそれぞれ5年余り勤め、次世代に託した。

女優として、広渡常敏の演出を受け、その演劇論をチェーホフとブレヒト、そして創作作品を演じることを通して、時代に向かい自身を問うことを学んた。演出家としては、女性としての視点からの作品を創ることからはじめた。2023年『玄海灘』で、それがどのように継続されるか、追求したいと思っている。


脚色/有吉朝子

1996年   「文学座付属演劇研究所」を経て劇団「新人会」所属

2005年   「劇作家協会」が主催する戯曲セミナーを受講

2007年   「劇団劇作家」所属となる

2020年   「第26回劇作家協会新人戯曲賞」で「キラメク!」が最終候補となる。

                 「日本の劇」戯曲賞2020で「世界が私を嫌っても」が佳作選出(最優秀賞該当なし)

2021年   劇団劇作家主催リーディングミュージカル「ヴェガとアルテオ」上演(AFF補助事業)

2022年   劇団劇作家主催 平林たい子没後50周年記念「世界が私を嫌っても」上演(AFF補助事業)

明治・大正期の日本美術および精神医療、昭和初期~戦後の世相と文学等、歴史的事実から題材をとり演劇団体や市民劇団からの依頼を受け執筆している。また大分県竹田市総合文化ホール「グランツたけた」主催「マダム・バタフライ塾」、千葉県文化振興財団主催「演劇の脚本を楽しむ10日間~戯曲アカデミー~」、創造演戯研究所などで講師を努める。

「リトルボートストーリー2 ぼく自身のうた」鎌倉アクターズワークショップ@富士見スタジオ(2017年6月)および鎌倉光明寺(2017年11月)また、2018年日本新劇俳優協会フェスティバルにて上演。志賀澤子(東京演劇アンサンブル)演出・主演。ほか「波津子―レディの肖像-」など。

 

玄海灘を上演する会代表/二宮聡

日本新劇俳優協会理事
シアターカイ国際舞台芸術祭実行委員

二十数年にわたって劇団ピープルシアターの中心メンバーとして、森井睦の代表作「花のもとにて春死なん」や、ワジディ・ムアワッド作「焼け焦げるたましい」、ジェイソン・マガノーイ作「バグダットの兵士たち」、日露合作公演、ネリ・マトハーノワ作「シベリアに桜咲くとき」、船戸与一原作「砂のクロニクル」「蝦夷地別件」、など、ピープルシアター作品に出演。プエルトリコ演劇を日本で初めて上演した、ロベルト・ラモスペレア作「アヴァタ―・聖なる化身」や、韓国の詩人、尹東柱の半生を描いた、森井睦作「一点の恥辱なきことを」、ゲルドロード作「パンタ・グレーズ」、第1回日韓演劇フェスティバル参加作品、ユン・ジョンファン作「ちゃんぽん」、ゲイの世界を描いた船戸与一原作「新宿・夏の渦」では主演をつとめる。2017年から3年かけて、船戸与一「満州国演義」の舞台化に取り組んだ。

そのほか、美輪明宏演出主演「黒蜥蜴」(青山劇場)
日韓演劇交流センター主催、韓国現代戯曲ドラマリーディング「真如極楽」「0.917」「統一エクスプレス」「月の家(タルチプ)」(シアタートラム)
中国雲南省石林市の火祭りにて「阿詩瑪」(野外スタジアム)
日本新劇俳優協会フェスティバル「ぼく自身のうた」(作/有吉朝子 演出/志賀澤子)
朗読CD「尹東柱詩集」(キングインターナショナル)

現在は東京演劇アンサンブル「消えた海賊」、みむみむの森「モーツアルト物語」に客演し、全国旅公演中。